建築?環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

池上葵花|住宅団地におけるカーポート利用の現状
宮城県出身
三浦秀一ゼミ

 本研究では、住宅団地におけるカーポート利用の現状を調査し特に再エネ促進区域制度の適用可能性について検討した。調査対象として宮城県および山形県の5地域を選定し、カーポートの設置率やソーラ調査の結果、地域ごとにカーポートの設置率やソーラーパネル導入率に大きな違いが見られた。特に宮城県富谷市明石台や仙台市桂では、建蔽率が40%と比較的厳しく設定されているため、住宅の建築面積とカーポートの面積を合算すると建蔽率を超えるケースが多く、カーポートの設置が制限される傾向にある山形県の対象地域では建蔽率が60%と緩和されており、住宅の建築面積が小さいことから、カーポートの設置が比較的容易であることが分かった。再エネ促進区域制度は、ソーラーパネルを搭載したカーポートを建蔽率に算入しないことで、カーポートの設置を促進する制度である。この制度を活用することで、特に建蔽率の規制が厳しい地域においても、ソーラーカーポートの導入が容易になり、再生可能エネルギーの利用が促進される可能性がある。実際、調査対象地域のうち、建蔽率40%の地域では、制度を活用すればより多くの住宅でカーポートを設置できることがわかった。
 しかしながら、この制度の導入にはいくつかの課題も存在する。第一に、財政的な負担である。補助金や税制優遇措置を提供するためには、国や地方自治体の財源確保が必要であり、財政状況によっては制度の持続可能性が問題となる可能性がある。第二に、地域間格差の問題がある。すべての地域が再エネ促進区域に指定されるわけではなく、指定された地域とされなかった地域の間でカーポート設置のしやすさに格差が生じることが懸念される。
 また、カーポートの設置予定がない家庭にとっては、制度の恩恵を直接受けることができないため、制度によるメリットを感じにくいという問題がある。さらに、地域全体でカーポートの設置が進むことで、景観の変化が生じる可能性もある。こうした課題を克服するためには、再エネ促進区域制度の適用範囲を拡大するとともに、カーポートを設置しない世帯にも何らかの形でメリットを提供する施策が求められる。
 本研究の結果から、再エネ促進区域制度は、建蔽率規制の厳しい地域において特に有効であることが分かった。今後、制度の適用範囲や財政負担の軽減策についてさらに検討し、地域ごとの特性に応じた柔軟な運用が求められる。持続可能なエネルギー政策の一環として、ソーラーカーポートの普及を促進することが、カーボンニュートラル社会の実現に向けた重要な提案となる。