小林帆乃夏|富沢磨崖仏群における管理状況の調査と教育普及
福島県出身
宮本晶朗ゼミ
磨崖仏とは、自然の岩肌や崖などに直接彫られた仏像である。
研究背景として、自然の岩肌などに彫られることの多い磨崖仏は雨風に直接晒されたり、自然災害の危険性などが高かったりすることが多く、保存環境の問題点が考えられる。
富沢磨崖仏群は、宮城県柴田町に位置し、鎌倉時代から江戸時代にかけて造られた磨崖仏群である。
代表となる富沢大仏(阿弥陀如来坐像)は嘉元4年(1306)に造立された高さ2.4mの大型磨崖仏であり、東北唯一の在銘磨崖仏でもあることから昭和46年(1971)に宮城県指定史跡となった。(図1)そのほか、六地蔵菩薩坐像や虚空蔵菩薩坐像といった石仏などが安置されている。(図2)(図3)
本研究では、富沢大仏が覆屋の中に保存されている一方、富沢大仏と造立年代が同時期にも関わらず屋外に安置されている六地蔵や虚空蔵菩薩は劣化が進んでいたことから、保存や管理状況について調査を行なった。研究方法としては、現地調査、聞き取り調査、定点カメラによる撮影といった方法である。
現地調査の結果、六地蔵については、六地蔵を納めている石龕の背面の壁左半分が剥落しており、本来刻まれていたとされる銘文が消失している。残されている右半分の壁には六地蔵の造立時期を示す銘文が残されている。また、背面の崩落部からの雨水による石材の劣化や損傷が見られるほか、植物の侵食や石龕前に設置されているフェンスの経年劣化が保存上の問題点としてある。
虚空蔵菩薩については、富沢大仏から離れた立地にあることに加え、拝観するためには民家同士の間を通る必要があるため、入り口がわかりにくく、急勾配の階段を登らなくてはならないという拝観上の問題点があった。
一方、富沢磨崖仏群の管理者である常光寺住職への聞き取り調査では、保存していくためにもまずは多くの人に知ってもらいたいという意向があった。 それらを踏まえ、本研究では富沢磨崖仏群のパンフレットの制作?配布による教育普及を進めていく。パンフレットの内容は富沢磨崖仏群の紹介、関係者へのインタビュー記事、アクセス情報で構成した。パンフレット配布後はその効果を検証し、より効果的な保存対策や普及活動を検討する。
1. 富沢大仏
2. 六地蔵菩薩坐像
3. 虚空蔵菩薩坐像