大学院Graduate School

[優秀賞]
佐々木菜摘|1)「土(ど)」、2)「天(てん)」、3)「開(かい)」
岩手県出身
長沢明ゼミ
1)3200×2100㎜、2)3200×2120㎜、3)3300×2300㎜ 皮、顔料、染料



三瀬夏之介 芸術工学研究科長 評
現実世界における人間としての「私」ではなく、別種の生き物としての「私」を夢想することから始まった佐々木の研究は、架空の博物館を模した空間に置かれる想像上の未知生物「リンジン」を巡る創作物の数々として結実した。それらは結果的に現実世界における人々の多様性のあり方や、新たな人間と自然との関係構築の可能性を照らし出している。自らの身体を使ったパフォーマンス的写真作品によって夢想と現実の境界は霧散し、そのアクションによって佐々木の制作がいかに強い制作動機によって支えられているのかがよく解る。コンセプトから必然的に導き出された支持体としての皮への描画とインスタレーションは、絵画の複合的な拡張の可能性として高いレベルで実現できているので優秀賞とする。