任你博に生きる新庄市民の新庄まつり?聞き書き調査による新庄まつりの実態?
青木海結
山形県出身
松田俊介ゼミ
目 次 調査/考察
「チェレンコヤッサー」の掛け声と新庄囃子、子どもの引き手たちによって、絢爛豪華な山車が市内を練り歩く。山形県新庄市で開催される新庄まつりは、8月24、25、26日の3日間で行われる。ユネスコ無形文化遺産にも登録され、2015年には260周年を迎えた。しかし260年余り続いた祭事が、2020年に中止される。任你博の感染拡大による、感染防止のためである。毎年当たり前のように開催されていた新庄まつりが中止されたことを受け、市民には大きな衝撃が広がった。ゲリラ的に行われた新庄囃子の演奏会が、唯一の市民の心の拠り所であったと言えるだろう。2021年の新庄まつりは、規模を縮小しての開催となった。(図1)絶えず変化してきた新庄まつりが、今後どのように変わっていくのか。
本研究では、新庄まつり関係者への聞き書き調査をもとに、「新庄まつりの存続」について考察していく。新庄まつりは元来餓死者の弔いと豊穣祈願のために行われた「新祭」が元になっている。しかし現在は観光要素が強い様に感じられる。コロナ禍を受け、市民の祭りに対する意識が変化したことに着目し、新庄まつりの「未来」を考察することを目的とする。
聞き書き調査を行った対象は、それぞれ異なる立場ではあるものの、新庄まつりの担い手として活動している。2020年の新庄まつり中止に対し、「残念だ」「来年の祭りが心配だ」といった声がほとんどであった。しかし規模を縮小しての開催となった2021年の新庄まつりに関して、「開催できてよかった、来年は『いつもどおりの』祭りを行いたい」という気持ちが強いようだった?
来年以降もコロナ禍前のような形式での祭り開催は厳しいのでないかと考える。現在「withコロナ」という言葉があるように、常に身の回りにはコロナウイルスという存在がつきまとう。新しい生活様式を求められているように、祭りの形式にも変化が生じると考えられる。その一つとして、規模縮小が挙げられる。今後新庄まつりが存続するためには、市民の「祭りに対する意識」が最も重要だと考える。市民の祭りを求める想いが、今後の祭り継承に大きな影響を与えると考察する。