美術科 洋画コースDepartment of Fine Arts Oil Painting

野上彦喜|猫と自画像Ⅰ、猫と自画像Ⅱ
宮城県出身 
細川貴司ゼミ
各1940×1620×60mm キャンバス、油彩

写真がある地点の現在を記録する媒体であるなら、絵画は対象を観察し筆を乗せるまでの、その一瞬を幾度も画面に並べてゆくパッチワークのような媒体である。そうした継ぎ接ぎの表現で映すのは、何処かちぐはぐな自分の姿だ。箱の中で生死を重ねる猫のように、私という容れ物の中には幾重もの自己が反発しあい存在する。シュレディンガーが現在を終わりのない唯一の今と現した様に、私は不完全な私の今を表現したいのである。