[優秀賞]
佐々木菜摘|変身譚
岩手県出身
長沢明ゼミ
2450×4000×37㎜ 岩絵具、水干絵具、アクリル絵具
リンジン(画面中央で休んでいる生き物)を囲むように立っている白樺は、無意識のところで繋がり合う人間たちを表しています。この作品は”人間社会のなかでどんなに疲れ果て鬱屈していても、違う姿で生まれ変わり生きてやる”という私の希求です。
長沢 明 教授 評
「なんだ?この得体の知れないやつは?」と鑑賞者は先ず困惑するでしょう。作者は涅槃図からヒントを得て表現しています。しかし、そこにいるのは釈迦ではなくリンジン?ここで一切の常識や知識を外して観てみましょう。例えば、心を空っぽにするとか、人である立場を一旦忘れて、人類以外の視点から人間社会を眺めるような気持ちで。どうでしょう?人の姿かたちなんて、こんな風に見えていてもおかしくありません。そもそも人、動物、植物の区別もないのかもしれません。リンジンはそんな世界の住人で、じわじわと無言で問いかけてくるかのようです。この作品は、通常のマインドからチャンネルを少しずらして見せる面白さが魅力です。目に見えていなかった世界を凄みのある描写によって現し、私にはまるで瞑想を促すように感じられます。
くつろぎながら今日の世情に耳を傾けているリンジンは、あなたにどう囁きましたか?