25.09.17
読みもの
任你博には、ちょっとユニークな学科があります。その名も「歴史遺産学科」。
日本民俗学の聖地?岩手県遠野市を訪問。河童や座敷童と遭遇するかも?
「アートやデザインの大学なのに、歴史?」と思うかもしれません。でも、アートやデザインの大学だからこそ、歴史を学ぶ学科が必要なんです。
なぜなら、どんな表現も、どんなアイデアも、人の歴史や文化の積み重ねから生まれるから。
つまり、〈過去を知ることは、未来をつくる力になる〉んです。
そんな歴史遺産学科には、2つのコースがあります。
〈文化財保存修復コース〉
昔の美術品や道具など「モノ」をよみとき?守り?未来につなぐコース。
〈歴史遺産コース〉
歴史やお祭りなど「コト」をよみとき?守り?未来につなぐコース。
カタチがある「モノ」とカタチのない「コト」の両面から、歴史と向き合い、研究します。
「コト」を扱う歴史遺産コース。
「モノ」を扱う文化財保存修復コース
その中でも、今回は「歴史遺産コース」に注目してみましょう!
歴史遺産コースでは、次の4つの分野を学びます。
– 歴史学(文字で残された記録)
– 考古学(地中から出てきた遺物)
– 民俗?人類学(地域の暮らしや文化)
– 建築史学(昔の建物や街並み)
なぜ4つも分野があるのでしょう????それは、いろんな角度から見ることで、歴史を立体的に、リアルに見るためです。歴史遺産学科では、歴史を「教科書の中の話」ではなく、「実際の人の営み」として学ぶんです。
たとえば、縄文土器を実際に作ってみる授業があります。
土器が完成したら、実際にカレーを調理してみる。
「こんなに手間がかかるの?」
「飾りは後からつけてるんだ!」
「こだわってるなあ???」
自分の手で作ってみると、教科書ではわからないことが見えてきます。縄文人の指の動きやデザインの好み、使っていた道具???。そして、子どもが大人に手ほどきを受けながら、土器の作り方を教わっている様子???。
歴史が“人の営み”として立ち上がる瞬間です。
歴史遺産コースの大きな特徴は、授業の約50%がフィールドワークだということ。
つまり、教室の外で学ぶ時間がとても多いんです!
今回は、1年生の授業のひとつ「フィールドワーク1」を紹介します。
行き先のひとつ、旧済生館は、1878(明治11)年に建てられた、東北地方で初めて西洋医学を導入した病院です。
当時の技術の粋を結集して建てられた建築で、イギリス海軍病院をモデルにしています。なんと、ドイツ直輸入の材料を使ったり、時の太政大臣に命名をお願いしたりしているんですよ!建設当時は東北地方でもとびぬけて気合の入った、超モダンな建築でした。
こうした歴史遺産については、建築史学が専門の志村直愛先生が案内?解説してくれるので、大満足の学びになります。
国の重要文化財に指定されている「旧済生館」。
5月には、1泊2日で東京遠征!
4つの班に分かれて、東京の歴史遺産をめぐります。
ある班が向かったのは、日本の最高学府?東京大学。実は東京大学は、江戸時代最大級の大名として有名な前田家の加賀藩邸跡に建てられています。その関係で、東大の校門のひとつには加賀藩の御門(重要文化財)が使われています。
東京は、江戸時代以来、日本の歴史?文化の中心地だったので、歴史遺産の宝庫なんです。
東京大学?赤門。生活の風景の中に歴史が溶け込んでいる好例です。
また、国立科学博物館では、特別展の『古代DNA?日本人のきた道?』を見学しました。
本展示は、発掘された古代人の骨から人類が歩んだ足跡をたどる壮大なもの。この展示、なんと学科長の青野友哉先生が監修をしており、贅沢にも青野先生ご本人の解説付きで企画展をめぐることができました。
プロからじっくり4年間学ぶことができるのも、大学の学びの大きな魅力です。
実はこのとき、一般のお客さんも耳をダンボにして解説に聞き入っておりました…。
このように、この授業では本物にふれることで、ありふれた風景に溶け込む歴史遺産を感じ取るアンテナを育てていきます。こうして1年生のうちから歴史遺産に対する感覚を研ぎ澄ましていくことで、その後の学びがより充実していくのです。
歴史遺産学科Instagramでは、授業やフィールドワークの様子を投稿中!
歴史学/考古学/民俗?人類学/建築史学の4分野を通じて、歴史を読み解き、守り、繋いでいく、歴史遺産コース。
– 歴史が好きな人
– 地元や地域が好きな人
– 将来、先生や公務員、学芸員になりたい人
– 地域の文化やまちづくりに関わりたい人
歴史を通して、世界の見え方が変わる。
そんな体験が、ここにはあります。
歴史遺産コースは、
「過去を学び、未来につなぐ」学びの場です。
あなたも、“未来の歴史をつくる人”になってみませんか?