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Crafts

美術科 工芸コースの学生募集停止について

美術科 工芸コースと美術科 テキスタイルコースを基礎に、2023年度新たに「工芸デザイン学科」を開設しました。これに伴い、両コースは2023年度からの新入学生募集を停止しましたが、現在の教育内容と教育体制は、在学する全ての学生が卒業するまで引き続き存続します。


「人が触れる」を考えるモノづくり

新しい生活様式がさけばれる中、皆さんは何を大切にして行きますか?
これからは自身と身の周りにあるモノとの関係がより深くなっていくのではないでしょうか。工芸は常に身の周りにあって、人の内面や感情に近い存在です。時代ごとに変化しデザインされ、長く愛用されて行くモノです。最近よく耳にする「SDGs」の目標にも大きく貢献していく事ができます。
漆のお椀や陶器のカップ、照明やアクセサリーなどライフスタイルショップで見かけるモノのほとんどが現代の工芸です。自分で使ってみる、作ってみるからこそ解る見た目だけではわからないつくり手とつかい手のあいだにある感覚。それは体験からしか学ぶことはできないのです。手で生み出す過程までもがモノに表れて「心と身体の健康」を支えていけるのです。

Feature

特徴

自由に使える工房設備から生まれるモノ

作品を制作するには様々な設備を使用します。また時間を要する作業も多く、工房使用時間が長いことは工芸を学ぶ上で大きなメリットになります。芸工大にしかない大きな設備も使い方を授業内でしっかりと習うので、学生は課題以外の自主制作でも自由に使用することもできます。充実した工房からは日々さまざまなアイデアやクオリティの高い作品が生まれています。

地域と連携した実践的なカリキュラム

地元企業と協業で行う課題や制作したモノを販売する課題は工芸ならではの特徴です。デザインするだけではなく実際に商品として完成させて自ら販売まで行っていきます。ただ作るだけではなく自分で使ってみたり、誰かに購入して使ってもらうことは実社会とのつながりを強く意識できる機会でもあります。工芸コースは「モノを通じて人とのつながる」ということをしっかり学べるカリキュラムを取り入れています。

専門性を重視しながら学びの幅を広げる

工芸コースには漆芸、金工、陶芸と素材ごとに3分野に専攻が分かれており、それぞれを早い時期に選択して専門的に学んでいきます。素材や技術の違いから工芸では専門分野での学習に注力しがちになります。芸工大では選択した専門分野以外の教員に師事することが可能で(ゼミの選択)自身の研究を幅広く行えます。今までの工芸とは違った学びから新しい人材の育成を目指しています。

Curriculum

授業紹介

1年次

思考?造形の基礎と工芸素材の加工法を学ぶ

モノを生み出すために必要なアイデア展開の論理的思考法の体得から始まり、アイデアを具現化するための平面?立体の造形力を養います。また漆、金属、陶の素材ごとに専攻を分かれ、基礎技法を習得しながらモノに必要な要素を体感的に捉えます。素材を直接加工することで思考と行動双方向からのアプローチを経験しクリエイターとしての土台を形成します。

  〈 講義 〉 〈 演習 〉 〈 実践 〉
前期 工芸論
【工芸領域の紹介】
生活とグラフィックデザイン
工芸史
工芸論 
美術基礎演習
【デッサン?彫塑】
工芸基礎演習
【アイデア展開?サーフェスデザイン】
コンピューター基礎演習
後期 デザイン史
インタフェースデザイン論
色彩学
工芸演習1
【素材の加工法】
工芸演習2
【漆、金工、陶芸の基礎技法】
芸術思考論

2年次

用途と形態の関係を知り、「機能する」を考える

生活に必要なモノの中に工芸は多く存在しています。アクセサリーや器など工芸分野の代表的なアイテムをデザインし制作する課題でより高度な表現を学んでいきます。素材によって生まれる形や質がどのように機能するのかを「使えるモノ」を通じて考察します。また展示会を企画運営する授業では展示空間を機能させるというところまでを行います。

  〈 講義 〉 〈 演習 〉 〈 実践 〉
前期 インテリアデザイン論
プロダクトデザイン入門
工芸演習3
【ユーザビリティ】
美術科共通演習
【日本画/洋画/版画/工芸/テキスタイル /総合美術から2つ選択】
 
後期 広告ビジネス入門
クリエイターのための経営学
キャリア形成論
美術の見方
工芸演習4
【食にまつわる道具の制作】
工芸演習5
【加飾技法/進級制作】
美術と実践力
【プレゼン/展覧会の企画運営/ポスターデザイン】

3年次

マーケットを意識した工芸を実践する

生活空間は部屋の中だけではなく野外も同様に生活空間であると捉え、作品を制作する課題に取り組みます。人と関わる作品制作を前提としてこの課題行い問題解決する能力や新たな価値を提案する能力を養います。また産学連携課題や販売企画課題では商品の開発プロセスや販売の現場を経験する事により社会に繋がる手段を学びます。

  〈 講義 〉 〈 演習 〉 〈 実践 〉
前期 ブランド?マーケティング入門 環境造形演習
【野外設置作品の制作】
工芸応用演習1
【ゼミ選択?クラフト/ジュエリー/アートの分野を意識した制作】
キャリアマネジメント
アーティストマネジメント
ポートフォリオ研究
後期   工芸応用演習2
【マーケットを意識したアイテムの制作】
工芸応用演習3
【お茶会開催のための制作】
ポートフォリオ作成

4年次

自身の専門領域の研究を深める

3年次までに学んだ素材、知識、思考を生かし、クラフト、ジュエリーデザイン、アートなど各専門領域と社会を照らし合わせながら、自分自身で研究テーマを設定します。それぞれの進路や方向性を踏まえ、現代社会と対峙する自身のアイデアと研究テーマ、専門分野を考慮し、卒業制作でその成果を発表します。

? 〈 演習 〉
前期 工芸応用演習4
【研究テーマ決定/プレゼン/実験】
工芸応用演習5
【研究サンプル作成】
後期 卒業制作
【研究テーマの成果発表】

Career

進路

取得可能な資格

卒業時取得可能資格

小学校教諭一種免許状、中学校教諭一種免許状(美術)、高等学校教諭一種免許(美術)、学芸員
※指定の科目を受講することで取得できます。

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Professor

教員紹介

藤田 謙 コース長

Fujita Ken
教授/金工、ジュエリー

自分でやってみないとわからない

アイスクリーム専用のスプーンをご存知ですか?金属の熱伝導の良さを利用して硬いアイスクリームを溶かしながらすくうことができるスプーンです。金属の熱伝導の特性は古くから知られていることですが、最近までこのようなスプーンはありませんでした。なぜだと思いますか?答えは「そんなこと気付かなかった」だけなのです。人の生活は時代とともに変化し、常に新しいモノが生まれてきますが、そのなかで今何が必要かを「思い付く」ことが大切なのです。

常識や先入観にとらわれず、自由に考え実践していく。言葉にするのは簡単でも、実際には意外と難しいですよね。
人間は意外と原始的で、自分の手で触ってみる、面倒でもやってみる、この2つの方法なしには、自由な考えは生まれないのです。工芸は自らの手で素材を扱うことになるのですが、手で作っているうちに色々なことを「思いつく」のです。今日も工芸では「これってアリなのでは?」とさまざまなアイデアが生まれています。

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